澎湖は周囲を海に囲まれ天然資源が豊富です。魚そのものはもともと経済的価値の低いものでしたが、日本統治時代に日本人が魚の加工技術を持ち込んだ結果、水揚げされた魚を加工処理して台湾本島や国外に販売するようになり、澎湖の漁業関連産業に発展がもたらされました。中でも魚加工用のかまど(現地の言葉で「魚灶」という)はこの経済発展において重要な地位を占める建造物でした。
1961年に澎湖の伝統的漁業は大きな成長を遂げます。資源環境の変化、技術の革新、需要の増大が見られ、漁業の発展に伴ってかまどが林立し、どの漁港の沿岸や村内にもかまどが設置されていました。加工の対象は主に回遊魚のウルメイワシやキビナゴであり、村の女性が水揚げされた魚をかまどで加工しました。まずは塩水に浸して汚れを取り除き、丸い竹ざるを使って蒸し煮した後、風にさらして乾燥させ、台湾本島や日本に販売していました。
70年代以降は漁獲資源の減少、市場ニーズの変化、人口流出等の理由で伝統的なかまどを使った魚加工産業が次第に衰退し、それと連動してかまどの建造も下降の一途をたどり、澎湖の年配者の思い出の光景になりました。年齢に関係なく人々がかまどを囲むにぎやかな情景はかまどの風化とともに色褪せ、記憶の中の産物になりました。
2017年7月に白沙郷と地区発展協会が手を携え、かまどの長い歴史を保存して後世に伝えていくため、「後寮三八垵かまど」を復活させました。かまどの再現は年配の村民にかつての日々を回想する機会を提供するだけでなく、若い世代にかつての漁業に立脚した住民の生活を学ぶ場を提供しています。大きな教育的意義が存在するだけでなく、周辺の観光スポットと連動させて観光客を誘致し、白沙地区の観光産業の発展を促すことが期待されています。
白沙後寮の旧埠頭にある三八垵かまどは秘境「天堂路」のそばにあり、天堂路と合わせてこの伝統的なかまど建造物を見学することをお勧めします。後寮の三八垵かまどは単にかまどが設置されているだけでなく、澎湖の漁業用フロートやその他回収した廃棄物を巧みに利用して作られた4体の人形が一緒に展示されています。それぞれに姿勢や役割が異なり、伝統的なかまど作業の状況が生き生きと再現されています。
また、かまどのそばにある珊瑚の砂浜にカラフルな塗装が施された漁船が1艘停泊しています。この漁船はかまどの歴史に関連しているだけでなく、彩り豊かな船体は澎湖のきらめく日差しのもとで青い空、白い雲、砂浜を引き立たせ、澎湖で最も美しい景色の一つになっています。
【見学時間の目安】0.5時間